介護
洗たく屋さんのヘルパーステーション
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令和4年7月の研修報告です。
今月は「認知症疾患について」の研修を行いました☻
認知症疾患について
1.認知症とは
認知症とは、もともと正常であった記憶や判断力などの知能(認知機能)が何らかの原因によって徐々に低下し、日常生活や社会生活に支障がでてきた状態をいいます。認知機能が低下するので「認知症」といいます。
2.認知症の症状
認知機能が低下すればどのような症状がでるのでしょうか?
認知症の症状は、記憶の障害、すなわち「もの忘れ」が中心になり、多くの場合で早期から起こります。さらに、今日の日付や自分の居場所、知り合いが誰かわからないなどといった自分のまわりの状況がわからなくなる見当識障害もあります。
このような認知機能低下以外にも、精神症状や行動の障害も徐々にでてきます。たとえば不安、抑うつ、興奮、徘徊などの症状がそれであり、これらは介護をするうえで問題となります。
3.認知症を起こす病気
認知症を引き起こす病気を大きく分けると、脳の神経細胞がゆっくりと死んでゆく「神経変性疾患」、脳の血管の病気が原因である「脳血管性認知症」、「その他の原因」の3つに分類されます。
神経変性疾患による認知症の中では、アルツハイマー型認知症がその代表疾患で最も多い疾患です。2番目に多いのが「脳血管性認知症」で、脳梗塞や脳出血が原因です。「その他の原因」の中には、適切な治療で認知症が治る可能性のある精神疾患や脳外科疾患あるいは内科疾患も含まれているため、それらを見逃さないようにすることが非常に重要です。
4.神経変性疾患
神経変性疾患が原因の認知症の中にはアルツハイマー型、レビー小体型、前頭側頭型の3つのタイプがあります。
4-1.アルツハイマー型認知症
患者さんの数が最も多い疾患であり、認知症のなかで約半数をしめます。ほとんどが65歳以上の高齢者ですが、それより若い人にも起こります。脳の中にアミロイドというたんぱく質が増えてくることが原因です。まずは物忘れから発症して、見当識障害、判断力低下、精神症状などが徐々に進行してゆきます。症状を完全に治療することはできませんが、症状の進行を遅らせる薬があります。
4-2.レビー小体型認知症
3番目に多い認知症であり脳の中にレビー小体という物質が出現する病気です。認知症の症状だけではなく、手足のふるえや歩行障害、動作が鈍くなるといったパーキンソン病のような体の症状が出現することが特徴です。さらに、あるはずのないものが本当にそこにあるように見える幻視もでてきます。そのほかに立ちくらみ、失神、うつ病なども伴い、多彩な症状が出現するので注意が必要です。
4-3.前頭側頭型認知症
前頭葉や側頭葉といった、脳の中でも前のほうの部分が変性し萎縮することにより起こる認知症であり、多くは65歳以上の若年に起こり、頻度はアルツハイマー型認知症の3分の1程度といわれています。人格変化や意欲低下などを生じる前頭葉症状と、言語障害などが起こる側頭葉症状があり、初期では記憶障害があまりない点で型認知症とは異なります。また人が変わったように、物事に無頓着でだらしなくなったり、奇妙な行動を繰り返したりすることがあります。
5.脳血管性認知症
脳梗塞や脳出血といった、脳血管障害(脳卒中)により脳の神経細胞が破壊されることによって起こる認知症です。認知症全体のなかで2番目に多い疾患です。脳血管障害は突然発症する病気ですので、認知症状も突然出現します。この点が神経変性疾患との大きな違いです。また、認知症状だけではなく、運動麻痺、しびれや言語障害などの神経症状を伴います。脳血管性認知症の場合は認知症の治療のみならず、脳血管障害の治療も必要になることがあります。
6.その他の認知症
全身のさまざまな病気により、認知機能障害が起こることがあります。これらはその病気本来の治療により治る可能性があります。
6-1.内分泌・代謝性中毒性疾患
甲状腺機能低下症
種々の原因により、甲状腺ホルモン分泌が低下した状態で、無気力、易疲労感、かすれ声、皮膚の乾燥などの症状があらわれ、放置すると認知症状があらわれることもあります。
ビタミンB1欠乏症
脚気やウェルニッケ脳症をもたらします。
肝性脳症
肝機能の極端な低下によって意識障害や精神症状が起こることがあります。
低血糖症
血糖値が下がりすぎて身体の活動性を維持できなくなり脱力感、めまい、眠気、顔面蒼白といった症状があらわれます。後遺症として認知症を残すことがあります。
アルコール脳症
過度の飲酒を繰り返すことで、アルコール依存になり、精神・神経障害があらわれます。
6-2.感染性疾患
脳炎・骨髄炎
細菌やウイルスなどによって脳や脊髄を包んでいる組織(髄膜)が破壊されることによって起こる病気であり、頭痛、発熱、意識障害などがおこります。
6-3.腫瘍性疾患
脳腫瘍
腫瘍の場所によって、多種多様な神経症状、精神症状、内分泌症状が出現します。
正常圧水頭症
脳の中に水(脳せき髄液)がたまり、脳を圧迫することにより認知症のような症状が出現する病気です。65歳以上の高齢者に起こり、原因は不明です。認知症以外に歩行障害と尿失禁も起こります。歩行は左右の足の幅を広げてヨチヨチと小股で歩くのが特徴で、進行すると立ち上がれなくなる場合もあります。シャント手術という脳の手術で治ります。
6-4.外傷性疾患
慢性硬膜下血腫
頭蓋骨と脳の隙間に血がたまる病気で、高齢者に非常に多いです。多くは頭部打撲の1か月から3か月後に起こります。本人が覚えていないほどのごく軽度の打撲でも起こる可能性があるので注意が必要です。症状は頭痛や歩行障害、運動麻痺とともに意欲低下や見当障害などの認知機能障害も出現します。CTで簡単に診断でき、脳の手術で症状は完全に治ります。
頭部外傷後遺症
頭を強く打ち命をとりとめても残る様々な障害で、麻痺、言語障害や認知症などあらわれることがあります。