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​令和4年12月の研修報告です。​

今月は「車椅子からベッドへの移乗で気をつけるべき6つの注意」の研修を行いました☻

​車椅子からベッドへの移乗で気をつけるべき6つの注意​【半身麻痺のケースも】

​ 病気や事故などによって歩行困難が見られる高齢者、障がい者にとって、車椅子は大切な手段です。外出時だけでなく、食事やトイレ、入浴の際のちょっとした移動にも欠かせません。しかし、ベッドから車椅子へ、また車椅子からベッドへ移乗するときというのは、失敗して床に転落でもすれば捻挫や骨折を引き起こす可能性も高く、高齢者の介助をおこなう立場としては非常に気をつかポイントでもあります。

 そこで今回は転倒・転落ゼロを目指して、車椅子の正しい移乗方法をおさらいします。

<移乗の前、車椅子の点検をするときの3つのポイント>

 車椅子の移乗について説明する前に、まずは肝心の車椅子のメンテナンスについて説明しましょう。

●ブレーキの利き具合

停車時にしっかりとブレーキが利いた状態でないと思わぬ事故に発展する恐れがあります。

●タイヤの空気圧

段差にぶつかった際のショックの吸収や乗り心地に影響してくるため、空気圧の確認は定期的におこないましょう。

●座席の座り心地

一般的な車椅子のシートや背もたれは、硬めの布などの素材で作られていますが、長時間座る場合、腰を痛めたり、褥瘡(床ずれ)の原因となったりすることがあります。体の負担を軽減できるように、クッションを腰に当てる、座面に低反発マットを敷くなどの工夫をしましょう。

<車椅子移乗における6つの注意点>

 ベットから車椅子へ。車椅子からベッドへ。簡単なようで、慣れないうちはなかなかうまくいかないものです。基本的な手順やテクニックを覚えておかなければ、事故につながる恐れもあります。以下の注意点を確認して、安全に、互いに安心して移乗ができるよう努めましょう。

①ベッドと車椅子の感覚は15~30度

スムーズな移乗を可能にするためには、できる限りベッドと車椅子の位置を近づけることが重要です。ベッドのフレームと車椅子のホイールがある面との角度を15~30度に保ち、できる限り平行に停車するようにしましょう。

②ブレーキをかけ、フットレストを上げる

車椅子のハンドブレーキをしっかりと固定し、少しの弾みでも車椅子が動かないようにしましょう。また、つい忘れがちなのは、足を乗せるフットレストを下げたままにしてしまうケース。移乗の際に、間違えてフットレストを踏みつけてしまった場合、車椅子が跳ね上がって思わぬ怪我につながることも。

③介助者の腕は相手の腰(背中)に、被介助者の腕は介助者の肩に手を回す

ここまで準備ができたら、次はいよいよ移乗です。ベッドから車椅子に移乗する際、少しでもスムーズにいくように、まずはできる限り浅めにベッドに座ってもらいます。次に、介助者は相手の腰に両腕を回し、高齢者には自分の両肩に腕を回し抱きしめてもらうようにします。相手が腰に痛みや違和感を訴える場合は、背中を抱えるようにしましょう。

④前傾姿勢を意識し、自力で立ち上がりやすい状態にする

移乗を前に、お互いの体が密着した状態になりますが、介助者は、相手の上半身を自分がいる方向(前方)へ引き寄せるようにすることがポイントです。上半身をうまく預けてもらえば、重心の集まるおしりを自力で浮かせやすくなるため、立ち上がりやすい体勢がとれるというわけです。

逆に自分の体を相手の体の方へ近づけていった場合、腕力だけでは体を持ち上げられず、そのままベッドへ介助者ごと倒れこんでしまうこともあります。これは特に女性が男性を介助する場合によくある例です。

⑤介助者は両脚を広げ、安定した体勢を整える

上半身はお互い密着した状態ですが、介助者の下半身については、両脚を開いた状態で安定を保つことが重要です。

相手の両脚の外側に片足を置き、支えるようにします。もう片方の脚は車椅子の外側に置き、座面に腰を落とした勢いで車椅子が動かないようにしましょう。

⑥声かけでお互いの意思疎通を図る

 体を持ち上げる直前に「❝1、2の3!❞で動かします」と声をかけ、意思確認をおこないます。お互いのタイミングがピタリと合えば、より少ない力でスムーズな移乗が可能です。

移乗の注意点を車椅子からベッドに戻る際も守り、事故防止に努めましょう。

<半身麻痺の場合の移乗方法は?>

 脳梗塞や脳出血などの後遺症で左右どちらかに半身麻痺が見られる場合、両腕で介助者の体を抱きしめることは難しいでしょう。こういった場合どのようにすればよいのでしょうか?身体の麻痺がある場合を例に挙げて説明します。左側に麻痺がある方の場合はこの逆と考えてください。

 まずベッドから車椅子に移乗する場合、ベッドの左側に車椅子を置きます。

このとき15~30度の角度を保ちましょう。次に、左手で車椅子の外側の肘かけをつかんで立ち上がってもらい、左足を軸にして体を回転して座ってもらいましょう。必ず車椅子のブレーキを確認し、しっかりと固定されてるかを確認した上で移乗してください。

 車椅子からベッドへ移乗する場合は、ベッドに身体の左側を向けて車椅子を停車させます。左手でベッドに手をついて立ち上がってもらい、左足を軸に体を回転させて、ベッドに座るようにします。

​ どちらの移乗の場合も、機能している片足を活かすプロセスになります。介助者は必ず麻痺がある側に付き添い、体を支えるようにしてください。

<車椅子とともに見つける、始まる、新たな生きがい>

​ 足に不自由が見られる高齢者でも、車椅子をうまく活用すれば行動範囲が大きく広がります。移動手段が増えることによって、寝たきりになるリスクも減少でき、少しでも体を動かすことを日課とすれば、ロコモティブシンドローム(運動機能低下に等による老化の加速)の予防にもつながります。

 また、外出して景色を見たり季節の変化を肌で感じたりすることは、インドアになりがちな生活にメリハリを与えてくれるものです。車椅子生活になったことを決して悲観的にとらえず、明るく献身的に家族がサポートをしていけば、新たな生きがいや楽しみを見つけ出してくれるでしょう。

応用的介護技術
           床からの立ち上がり      腕を組む方法

​ 相手の脇の下から手を差し込み、腕にかけた手をしっかりと握って抱え上げる動作は2人介助ではよく見られます。ただし、そのかけ方を漠然と立ち上がり介助に活用すると、かなり力まかせになってしまいます。そこで、無駄な力を使わなくする工夫のため、相手の腕に手を被せるだけにします。おそらく、「相手の腕を握らないで立ち上がらせるなんて無理」とほとんどの方が思うでしょう。

 確かに、真上に向かって筋力に頼った立ち上がりをしようとしたら、腕を握ってなければ、すっぽ抜けてしまいます。ところが、すっぽ抜けないで立ち上がらせる介護技術があるのです。

​ まず、相手の腕に手を被せた状態で後ろに尻もちをつくように倒れてみてください。すると、介助者が倒れる力により、相手を後ろに引く力が発生します。この時に被せた手はすっぽ抜けずに倒れると同時に被介助者の臍のあたりを押していたことが重要なのです。臍の辺りを押すということは、重心の位置をとらえることです。重心に働きかけることにより、相手はさらに動きやすくなります。そこから、手がすっぽ抜けないでなおかつ、筋力に頼らない立ち上がりが出来る方向性を探ります。すると、後ろに倒れる要素と上に立ち上がる要素を足して2で割ることで、斜め45度の方向性が導けます。そして相手と一体となり、バランスを保ちながら、積極的に倒れていけば結果として立ち上がり、介護が楽に行えます。その時に一貫して手は被せたままで、握られていません。あえてそこで握らない選択をすることにより、筋力の発揮は困難になります。だからこそ、自動的に筋力に頼らない動きの方向性へと導かれるのです。

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